
前歯の審美治療には、さまざまな選択肢があります。そのなかでもラミネートベニアは、歯を最小限に削るだけで、自然な美しさを実現できる治療法です。この記事では、ラミネートベニアの特徴から治療の流れまで、詳しく解説していきます。
ラミネートべニアとは
ラミネートベニアは、セラミックの薄いシートを前歯の表面に貼り、見た目を整える審美治療です。通常のセラミック治療と比べて、歯を削る量が0.3~0.5mmとわずかなため、天然歯の形をできるだけ残したまま治療できます。変色した歯を白くしたり、歯並びの乱れを修正したり、歯と歯の隙間を埋めたりすることができます。
ラミネートべニアの歴史
取り外しのできる簡易的なラミネートベニアが1920年代のハリウッドで映画撮影用として使用されたのが始まりです。その後、歯科治療として進化し、約20年前にはレジン(プラスチック)を直接歯に貼り付ける方法が開発されました。しかし当時は、材質の問題で変色や摩耗が避けられませんでした。
現在のラミネートベニアは、セラミック素材を採用することで問題を解決しています。優れた接着技術と、変色や摩耗に強い素材特性により、長期的に美しさを保てる審美治療として定着しています。
こんな方におすすめ
歯の着色や変色が気になる方、歯と歯の間の隙間が気になる方など、前歯の見た目を改善したい方に適した治療です。また、歯を大きく削るセラミック治療に抵抗がある方にも選ばれています。
ラミネートべニアが適さないケース
歯ぎしり・強くかみしめる習慣があるケース
歯ぎしりや噛みしめの習慣がある方は、セラミックの破損リスクが高いため、ラミネートベニアは適していません。奥歯など強い噛む力がかかる部分への治療も避ける必要があります。
歯並びの問題があるケース
出っ歯や重度の歯の重なり、大きく傾いた歯などは、ラミネートベニアでの治療が困難です。セラミックを貼り付けても十分な効果が得られないため、まずは歯列矯正による治療がおすすめです。
虫歯や歯周病があるケース
虫歯や歯周病がある場合は、ラミネートベニアの治療はできません。とくに大きな虫歯がある歯は、セラミックを接着できないため、治療を行う必要があります。
ラミネートべニアのメリット
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Merit01
歯をほとんど削らずに治療できる
通常のセラミック治療と比べて歯を削る量を最小限に抑えられ、健康な歯をできるだけ残すことができます。また、神経を削る必要もないため、治療後の痛みも少なくなります。
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Merit02
自然な見た目を再現できる
薄い陶材を使用するため、光の透過性が高く、より自然な見た目を実現できます。また、歯ぐきとの境目も目立ちにくく、まるで生まれつきの白い歯のような美しい仕上がりとなります。歯の形や大きさも調整できるため、バランスの良い前歯を手に入れることができます。
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Merit03
長期間にわたり審美性を保てる
セラミック素材を使用しているため、変色や着色に強く、長期間美しい状態を保つことができます。レジン製の詰め物と比べて耐久性も高く、適切なケアを行えば10年以上使用できます。また、プラークも付きにくいため、口腔衛生の維持もしやすくなります。
ラミネートべニアのデメリット
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治療費用が高額
通常のセラミック治療と同様に比較的高額な治療法です。また、複数の歯を治療する場合は、本数に応じて費用も増加していきます。
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Demerit02
破損のリスク
セラミックは硬い反面、衝撃に弱い特性があります。とくに歯ぎしりの習慣がある方は、就寝中に強い力が加わることでヒビが入ったり、破損したりする可能性が高くなります。また、硬いものを直接かむことも避ける必要があります。
そのため、場合によってはマウスピースの使用も推奨されます。大きく歯並びが乱れている場合なども、破損のリスクが高くなるため、他の治療法をおすすめすることがあります。
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Demerit03
歯を削る必要性
最小限とはいえ、歯を削る必要があるため、ラミネートべニアでの治療後は元の状態に戻すことはできません。また、歯を削ったことで治療後に違和感を抱くこともあるため、それを把握したうえで治療前の検討が必要です。
ラミネートべニアの流れ
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Step.01
カウンセリング・検査
レントゲン撮影や歯の検査により、ラミネートベニアが適しているかを判断します。また、希望の仕上がりについても確認し、治療計画や費用について説明します。虫歯や歯周病がある場合は、それらの治療を優先して行う必要があります。
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Step.02
歯の形成
薄いセラミックのシートを貼り付けるために、歯の表面を少し削ります。通常のセラミック治療と比べて削る量が少ないため、最大限歯を残した治療が可能です。
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Step.03
型取り
形成した歯の型を採得し、この型をもとにラミネートベニアを作製します。天然歯に近い仕上がりになるよう、色や形について細かく依頼を出します。
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Step.04
仮着物の装着
ラミネートベニア完成までのおよそ2週間、歯を保護するために仮の詰め物、被せ物を装着します。
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Step.05
試適・装着
完成したラミネートベニアの色や形を確認し、満足できる仕上がりかどうかを確認します。問題がなければ、特殊な接着材でしっかりと接着し、必要に応じて最終調整を行います。
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Step.06
メンテナンス
美しい状態を長く保つために定期的な検診で問題がないかを確認し、必要に応じてクリーニングや調整を行います。違和感や気になる点があれば、早めに相談しましょう。