
歯並びの悪さは、見た目だけでなく、口腔の健康にも影響を与える可能性があります。近年は治療方法の選択肢も増え、ニーズに応じた矯正治療が可能になってきました。この記事では、さまざまな矯正治療の特徴や治療の流れについて解説します。
矯正歯科とは
矯正歯科とは、歯並びやかみ合わせを改善する治療です。歯を支える骨や周囲の組織に力を加え、理想的な歯並びにします。現在では、従来のワイヤーによる矯正に加え、マウスピース矯正など、さまざまな治療法が選べるようになっています。
矯正治療の種類
成人で行われる矯正治療
成人の矯正治療では、以下の選択肢があります。
- 表側矯正:歯の表側にワイヤーを装着する
- 裏側(舌側)矯正:歯の裏側にワイヤーを装着する
- マウスピース矯正:透明なマウスピースで段階的に歯を移動させる
- 部分矯正:前歯など部分的な矯正治療を行う
表側矯正
歯の表側にワイヤーを装着する最も一般的な治療法です。長年の実績があり、複雑な歯並びの問題にも確実に対応できます。装置が目立つことが気になる方向けに、セラミック製の目立ちにくいワイヤーも選べます。
裏側(舌側)矯正
歯の裏側にワイヤーを装着する治療法です。外からはワイヤーが見えないため、見た目が気になる場合に適しています。表側矯正と同様の治療効果が期待できます。装着したばかりの時期は舌に違和感があり、慣れるまで時間がかかる場合があります。
マウスピース矯正
透明なマウスピースを使用する目立ちにくい矯正治療です。マウスピースの取り外しが可能なため、食事や歯磨き時の煩わしさがありません。ただし、装着しておかなければならない時間が長く、重度の場合には向かない場合があります。
部分矯正
前歯など、気になる部分だけを治療する方法です。治療期間が比較的短く、費用も抑えられるのが特徴です。部分的に矯正を行う治療法のため、全体の改善が必要なケースには適していません。
子どもに推奨される矯正治療
子どもの矯正治療として、以下が推奨されています。
- 床矯正:取り外し可能な装置で顎の成長を促す治療
- プレオルソ:永久歯が生える前に行う予防的な矯正治療
- インビザラインファースト:子ども専用のマウスピース矯正
床矯正
子どもの顎の発達を正しい方向に促しながら歯並びを整える治療法です。ワイヤーが付いた装置の拡大ネジを少しずつ広げることで、歯並びを矯正していきます。装置は取り外しが可能で、就寝時や家にいる時だけ装着すれば良いため、学校生活への影響が少ないのが特徴です。
プレオルソ
永久歯が生えそろう前の時期に行うと効果が高いとされるマウスピースを使った矯正治療です。プレオルソを装着することで、口周りの筋肉をバランスよく訓練でき、きれいな歯並びにつながります。装着時間も日中1時間と就寝中だけでよいため、比較的子どもの負担が少ないのが特徴です。
インビザラインファースト
透明なマウスピースを使用する矯正治療です。1日20時間以上の装着が必要ですが、取り外しは可能で、食事や歯磨き時は外すことができます。また、プレオルソが主に筋肉の力を使って歯並びを整えるのに対し、インビザラインファーストは歯を直接動かしていくため、1本単位での矯正が可能です。
こんな方におすすめ
矯正治療は、歯並びやかみ合わせの問題で悩んでいる方におすすめです。
たとえば、前歯が出ている、歯並びがガタガタしている、歯と歯の間に隙間があるなどの見た目の悩みはもちろん、かみ合わせが悪く食事がしづらい、口が閉じにくい、発音が気になるといった問題解決が可能です。
歯並びの悪さがかみ合わせの悪さにつながり、虫歯や歯周病、口臭、咀嚼不足による消化不良などのリスクを高めます。そのため、こうしたリスクを避けるための予防として矯正歯科が重要となってきます。
矯正歯科のメリット
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審美的な改善
歯並びが整うことで、笑顔に自信がもてるようになり、社会生活での自信にもつながります。
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Merit02
口腔機能の向上
正しい歯列とかみ合わせにより、食事がしやすくなり、発音も改善します。また、口を閉じやすくなることで、口呼吸の改善も期待できます。
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Merit03
口腔衛生の向上
歯並びが整うことで歯磨きがしやすくなり、虫歯や歯周病の予防につながります。
矯正歯科のデメリット
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治療期間の長さ
一般的に1〜2年以上の治療期間が必要です。重度の場合はさらに長期化する可能性があります。
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Demerit02
定期的な通院の必要性
月1回程度の定期的な通院が必要です。装置の調整や経過観察のため、継続的な通院が治療には欠かせません。
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費用の負担
基本的に保険適用外の治療となるため、治療費用は自費負担となります。治療法や期間によって費用は異なります。
矯正歯科の流れ
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Step.01
初回相談・検査
どの歯が気になるのか、どんな歯並びを目指すのかを聞き取ったうえで、詳しい検査を行い、レントゲンや模型を用いて歯の状態を確認します。
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Step.02
治療計画の説明と前準備
検査結果をもとに、治療計画を説明します。治療開始前には、むし歯の治療や歯のクリーニング、必要に応じて抜歯などの準備を行います。また、マウスピース矯正の場合は、ここで装置作製のための型取りも行います。
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Step.03
治療開始・装置装着
選択した治療法に応じて装置を装着します。装置の使用方法や注意点について詳しく説明します。
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Step.04
調整期間
定期的な通院で装置の調整を行います。歯の状態を確認しながら、必要に応じて治療計画を微調整します。
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Step.05
保定期間
治療完了後、歯の位置を安定させるため保定装置を使用します。この期間も定期的な経過観察が必要です。
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Step.06
メンテナンス
治療終了後も定期的な検査で、歯並びの状態を確認します。必要に応じて保定装置の調整を行います。